これではまるでゴムではないか。もちろんジュースは飲めるが、こんなストローはにせものだ。邪道だ。
長い間そう思っていた。しかし、この偏見がよくなかったのである。そのせいで「ぞうさん」の完成は5年近くも遅れることになってしまった。
実は、「ぞうさん」の鼻に使っているのはこの「駄目なストロー」なのである。
曲がっても元に戻るという弾力性のおかげで柔軟な動きになるわけで、象の鼻の材料としては駄目どころか最適だったのである。
思えば、勝手に「駄目」と決めつけて、使ってみようと思いつかなかったことこそが「駄目」であったなあと、いまだに深く反省しているのである。
1) まど・みちおさんの出身地、山口県周南市の徳山動物園に「マリ」という名の雌のゾウがいる。国内唯一のマルミミゾウとして親しまれていたが、最近、DNA鑑定によって実はサバンナゾウ(いわゆるアフリカゾウ)だったということが判明したらしい。とはいえ、そんなことには関わりなく、マリは引き続き淡々と「象」をやり続けているそうである。
2) あるコンサートで、演奏の合間にたまたま坂田さんのことを喋ったことがある。すると、コンサートの後、司会の女性に「坂田多賀夫は私の父です」と言われたのでびっくり仰天した。またお目にかかる機会がありますように。
2009.9